自分を変えることはできるのか――ヒプノセラピーと、ある男性の変化の話
「自分を変えたい」
ヒプノセラピーのセッションを受けに来られる方の中で、そう口にする人は少なくありません。悩みの内容はさまざまですが、共通して出てくるのが「自己肯定感が低い」「自分に自信が持てない」というテーマです。
では、人は本当に変わることができるのでしょうか。
今回は、実際に私のところへ相談に来られた男性のお話をご紹介したいと思います。
目次
「自分に自信がない」という相談
その男性が初めてセッションに来られたとき、静かにこう言いました。
「自分に自信がないんです。どうすれば変われるでしょうか」
一見シンプルな悩みのように見えますが、こうした言葉の裏には、必ず何かしらの背景があります。私はまず、生い立ちや日常の話をゆっくりと聞かせてもらいました。いつ頃からそう感じるようになったのか。何かきっかけがあったのか。どんな場面で特にそう思うのか。
話を深掘りしていくうちに、少しずつ本当のことが見えてきました。
見えてきたのは、「アトピー」という悩み
実は、彼が自信を失うきっかけになっていたのは、長年抱えてきたアトピー性皮膚炎でした。
肌の状態が気になって、人に見られたくない。外に出るのが怖い。そうした気持ちが積み重なり、少しずつ引きこもりがちになっていったというのです。
アトピーそのものは皮膚科的な疾患であり、私がセラピーで直接改善できるものではありません。正直にそのことはお伝えしました。ただ、アトピーという事実に対して、どう向き合い、どう考えるか——そのものの見方は、変えていくことができます。
私が向き合えるのは、そこでした。
「私はその状態を実際に経験しているわけではないので、完全には分からない部分があるかもしれない。でも、できる限り一緒に考えていきたい」
そう伝えて、セッションを続けることにしました。
少しずつ、確かに変わっていった
セッションを重ねるなかで、彼の中に少しずつ変化が起きていきました。
最初は「人の目が怖い」と言っていた彼が、少しずつ外に出られるようになってきました。人前でも、自分らしくいられる瞬間が増えてきたというのです。
職場での変化も出てきました。以前は表情が硬かった彼が、笑顔でいる時間が増えたと同僚から言われるようになったそうです。そして、ご両親からも「最近明るくなったね」という言葉をもらったと、嬉しそうに話してくれました。
神戸で、一緒に服を選んだ日
変化のなかで、特に印象に残っているエピソードがあります。
「もっと自分を磨きたい」
そう言い出した彼と一緒に、神戸まで服を選びに行ったことがあります。
以前の彼だったら、きっとそんな言葉は出てこなかったでしょう。人目を気にして外出すること自体が怖かった人が、「自分をもっと良くしたい」という気持ちで街を歩いている。
その日、写真を撮らせてもらいました。
画面の中の彼は、とても明るく、自信に満ちた表情をしていました。
「自分を変える」とはどういうことか
この経験を通じて、私が感じたことがあります。
「自分を変える」というのは、自分の弱さや悩みをゼロにすることではないのかもしれません。アトピーは、今も彼の体にあります。それは変わりません。
でも、そのことに対する「見方」が変わったとき、行動が変わり、表情が変わり、周りとの関係が変わっていきました。
自信とは、完璧な自分になって初めて持てるものではなく、今の自分をそのまま受け入れた先にあるものなのではないかと、私は思っています。
セラピストとして、私が心がけていること
ヒプノセラピーは、万能ではありません。すべての問題を解決できるわけではないし、私自身が経験していないことについては、どうしても分からない部分があります。
それでも、できる限り寄り添うこと。その人の言葉をしっかり受け取ること。表面的な悩みの奥にある、本当の気持ちを一緒に探していくこと。
そこに、私がセラピーを通じてできることがあると信じています。
「自分を変えたい」と思っているあなたへ。変わることは、きっとできます。ただ、それは「今の自分を捨てる」ことではなく、「今の自分と向き合う」ところから始まるのだと、私は思います。
ヒプノセラピーに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
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